在宅酸素療法・睡眠時無呼吸症候群について

  在宅酸素療法  

宅酸素療法とは血液中の酸素が不足している患者さんが、自宅など院以外の場所で、不足している酸素を吸入する治療法のことです。2017年時点で本邦における在宅酸素療法の利用患者さんは17万人であり、そのうち50%が慢性閉塞性肺疾患(COPD)、いわゆるタバコ肺です。医療保険の適応であり、医師が必要と判断した患者さんに対して指導料として処方し在宅酸素業者の方がレンタルで酸素濃縮器や酸素ボンベを自宅用、外出用に貸し出すシステムとなっています

   酸素濃縮器   

主に自宅で使用する酸素濃縮器は空気中の酸素を濃縮し高酸素濃度として患者さんが酸素吸入できるようにする機器です。自宅のコンセントを利用して使用でき、高さ50cm、幅40cm程度とコンパクトで操作も簡単です。酸素なので火に注意が必要です。
余談ですが2021年のコロナ禍で東京・大阪などでは入院施設が足りず自宅療養患者さんはこの酸素濃縮器を使用し酸素投与されていました。
デメリットとしてはコンセントを使用するので停電時、使用はできません。このため酸素ボンベを常時自宅へ保管することになります。昨今災害が多く心配される方もいらっしゃいますが、停電時は気象庁からの災害警報に連動して、療養者の安否確認を支援するシステムがあり、これにより酸素ボンベの搬送などを行えるよう準備されています。
*在宅酸素業者が運営しているシステムです。

  屋外での酸素療法   

屋外では携帯型酸素療法は酸素ボンベタイプ、コンセントタイプに分けられます。
・酸素ボンベタイプ
ボンベと聞くと重いという印象がありますがカーボンで作られ酸素1.8㎏と軽量でコンパクトなので意外と使用し易いです。
取り外しも先端を回すだけで酸素ボンベから確実に酸素吸入を行うことができ、機器の故障の不安は少ないです。
・コンセントタイプ
このタイプは自宅・外出兼用の酸素濃縮器で、外出時もコンセントから充電でき、酸素が無くなる心配が少ないです。ただし充電できる環境での使用が望ましいです。また酸素ボンベよりやや大きく小回りが聞きずらく、自宅でも使用するため酸素を一定量以上必要な場合使用が難しくなることがあります。外出時は機器の故障などに注意が必要です。

大まかに分けるとこのように分かれます。患者さんの生活スタイルに合わせて選択する形になります。

最後に
労作時に息苦しい時は低酸素となっている可能性があります。「心肺」という言葉があるように心臓・肺は体全身の酸素供給の重要な役目を果たしています。肺気腫等で低酸素が持続すると心臓のポンプ機能に負担がかかり、心不全を最終的には発症することも多く見られます 。見た目を気にされて在宅酸素療法を導入されない方も多くいらっしゃいますがより長くADLを保ちながら生活していくためにも在宅酸素療法が必要な場合は在宅酸素療法 を検討してみて下さい。



 血中酸素測定器 

当院では血中の酸素濃度測定機器を貸し出しています。上記のように黄色がSpO2であり95%とやや低めです。少し息苦しく感じたり、ドキドキと動悸がするような値です。数値としてすぐに本人が確認できるため症状と合わせて本人も納得し易いでしょう。この機器は耐水性がありお風呂でも使用可能です。

当日に貸出し、翌日当院へ持って来て頂き、解析に回し後日結果説明となります(紛失などの可能性がありますのでできるだけ翌日の返却をお願いしています)
*月、水、木貸出を行っております。お気軽に来院下さい。
*当院に1機しかないため当日にお渡しできない場合もあります。ご了承下さい。

 



  

   睡眠時無呼吸症候群

いびきのモノすごさにパートナーから指摘され経験ありませんか?
また過労状態でもないのに日中の強い眠気やだるさ、熟睡感が無いなどに悩まされていることはありませんか。
肥満気味、顎が小さいなどがあれば睡眠時無呼吸症候群の可能性があります

 

ているときに舌根がのどの後ろの壁に落ち込んで酸素の取入れができなくなり(↑で囲まれた部分が空気の流れでぶるぶると震えていびきが発生します)夜間、睡眠中に大きないびきをかいて、引き続きの長い無呼吸となり低酸素となります。無呼吸の状態にある間、身体は低酸素状態にあります。つまり酸欠状態です。

酸素欠乏状態は酸素をエネルギー源として生きている生物には生命維持の危険状態ですので、全身警報状態、つまり交感神経が全開状態になります。末梢動脈は収縮し、生存に必要な心臓や脳の血流を守ろうとします。その結果、血圧は上昇し、脈拍数は増加し、呼吸は促迫となり、生存のためのあらゆる方策が瞬時に取られます。そんな危険状態が毎夜毎夜繰り返される訳です。繰り返される動脈の収縮のため動脈硬化は進行せざるを得ません。今まで関連があるとは思われていなかったさまざまな病気の「原因」になっている可能性があります。特に関連がある疾患しては高血圧症や心不全等の循環器疾患です。

  原因  
1.舌根部が重い:肥満、特にあごの下、つまりのどの上の脂肪の塊が分厚く重い場合に起きます。
2.あごの骨と気道の作る角度が鋭角:日本人を含む東洋人に多いと言われています。
3.その他 1でも2でもないものが確認されています。眠りの深さとあごの筋肉の緊張の度合いは強い関係があるのですが、睡眠段階の進み方に異常があると無呼吸が起きることが研究されています。このような睡眠医学的な問題以外にも、まだ分類し切れない領域があるようです。
*寝る前のお酒はあごの筋肉を緩めてしまい、舌根を沈下させやすくなりますので、よくありません。そのほかにも脳にとっても さまざまな理由でよくなく「睡眠の質」を悪化させます。


睡眠時無呼吸症候群の治療ですが簡易検査を行い、睡眠時無呼吸症候群と診断した場合、CPAPという治療機器で治療するかどうか考えなくてはなりません。

治療について:CPAP

上記のように鼻にマスクを装着し、漏れないように両側からきっちりとバンドで装着します。機械と繋げれば治療開始です。圧がかかり、➡のように機械から鼻に圧が送り込まれ喉を拡げいびき・無呼吸が起きないにようになります。
もちろん睡眠中装着してもらいます。初めは慣れないかもしれませんが、慣れれば途中起きることなく起床され、快眠とおっしゃる方が多いです。

 

簡易検査について

る前にお腹に解析機器をつけて指先にSpO2モニターをつけ、鼻には呼吸数を感知するため鼻カヌレを装着して完了です。眠る前に解析機の側面にある緑色のボタンを押して下さい(一度押すと解析開始となるので必ず眠る前に押して下さい)。これで眠ってもらい一式を専用のケースに入れ翌日以降持ってきて頂きます

簡易検査は当日に貸出し、翌日以降当院へ持って来て頂き、解析に回し後日結果説明となります (紛失などの可能性がありますのでできるだけ翌日の返却をお願いしています)
月、水、木貸出を行っております。お気軽に来院下さい。
*当院に1機しかないため当日にお渡しできない場合もあります。ご了承下さい 。

最後に
もしかして自分が当てはまるのではないかと思われたらまず簡易検査をしてみましょう。当院で簡易検査一式を用意していますので診察をしてお話しをお伺いし、睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合には簡易検査を行います。




#睡眠時無呼吸症候群